議員の裏側

富山市小中学校統合は不登校生徒への救いの手を減らしてしまう

自分が卒業した地元の小学校や中学校がなくなったら、
みなさんは、どう思われるでしょうか?

ほとんどの方は、寂しい思いを抱かれると思っています。
そして、存続の可能性が残っているのなら、残して欲しい。
そうも思われていると思っています。

ただ、少子化の現状を考慮すると、
統合もやむなし!と思われる方も
たくさんいらっしゃるのだろうとも思っています。

実は学校の効率運営だけが目的ではありません。

今、富山市は、まさしく、その問題で揺れに揺れています。

小規模特認校は小さいだけが特徴ではない

そして、その影響で特別に認められていた
効果的な学校が消え去りそうになっています。

それは小規模特認校と呼ばれる特別に認められた学校2校です。

「特別に規模が小さい」という特徴だけ見られている感じですが、
「不登校生徒に選ばれている」という特徴を見てくれていません。

今回はそのことを軸にした話を
ぜひみなさんにも聞いてもらいたいと思います。

学校単位(地域)ではなく市全体で考えるべき問題

この問題は、自分の地域だけに目をやっていては
解決しない問題で、大きな面積を有する
富山市全域のことを考え、十分に議論して
落としどころを見つけて行かなければならない問題だと思っています。

今回、富山市の教育員会が示した
市内小中学校を同じような数の子どもたちが通う規模の学校
にしようとする統合案があります。

それに対して小規模の学校も残して欲しいという
市民活動の話をきっかけに統合問題をどう解決するのが
富山市民にとっていいのか、
シマの考えをお話したいと思います。

よくある存続に向けた署名運動だが、、

富山市の教育委員会が示した学校統合案に対し、
二つの小規模校の地域住民の方々が中心になって、

「通学の負担が異常に増える」
「小規模校の良さを残すべき」

などの理由で、存続を求める署名を集め、
市の教育長に渡したという記事が、
11月23日の新聞に載っていました。

富山市教育委員会が示した統合案の基本スタンスは、
先ほど簡単に説明した通り、
一定数の児童生徒がいる同規模の学校を
市内に均等に割り振ろうとするもの。

大雑把に捉えると、
それは、市内のどこに住んでいても
児童数が同じになるので、
一定の質の教育が受けられそうで、
公平な案に見えます。

しかし、それは、児童生徒数を同じにすることが、
均一な教育を受けるための大前提
であるとする仮定の話に過ぎません。

教育機会確保法の理念に反する

この案は、様々な個性がある
全ての児童生徒の教育の機会を確保しよう
という教育機会確保法の理念を考えていません

また、各学校の地域が抱えている
様々な特性も考えてもいません

児童生徒数のデータだけで、
機械的に割り振ったとしか思えない
案のように、シマには見えてしまいます。

もう少し具体的に言うと、これまで、
何度かここでも訴えて来ましたが、
不登校児童生徒が少子化に逆行して
増えてきている原因の多くは、
個々に対応しづらい学校環境にあります。

それなのに、どうして特徴がない同程度の学校ばかりを作って、
そこに無理やり押し込もうとするのか?
その本意が理解できません。

様々な特徴ある学校を市内にちりばめることで、
その学校なら生き生きと通える、学べるという
安心安全な居場所が確保できるのではないでしょうか?

また、通学に片道1時間以上、
積雪時にはその倍以上かかるかもしれないこと
が予想される地域の児童生徒を
そこに通わせることが、本当に均一で平等なのでしょうか?

みなさんはどう思われますか?

駆け足の議論しないと言いつつ…

「学校存続へ署名提出」という大見出しが躍った
約10日後の12月2日の新聞には、
それら市民の動きを受けて「駆け足の議論しない」
というさらに大きな見出しが躍っていました。

その3日後の社説には、この問題関連で
「子ども目線で議論せよ」との見出しが社説にありました。

この状況から分かる通り、
市民の関心が高くなっているのが分かります。

そういう状況なので、
市長や教育委員会は、民主主義の原則である話し合いを
しっかり重ねていくことを強調しています。

これは、ものすごく大切なので、時間をかけて、
特認校の本質などを話し合って頂きたいと思っていました。

しかし、しかし、しかし、この記事の最後に、
市の教育委員会は、来年3月までに再編の最終原案をまとめ、
4月以降に地域や保護者への説明会を行い、
理解が得られた学校から統合を進める方針としています。
とありました。

これはどういうことかというと「理解を得る」というのは、
「決定されていることに対して、
地域の方に反対がなくなるまでお伝えする」
ということになるのに、
それを今年度末までまとめると言っていることになります。

特徴ある学校の現状は?

令和3年現在、富山市には65の小学校があります。
その中に最初にお伝えした小規模特認校という
一定規模を大きく下回っている小さな小さな学校が2校あります。

今回の統合原案では、その2校とも廃校。
近隣の学校と統合する案が示されています。

小規模特認校というのは、
児童数が少ないことを利点として、
そういう学校でしか学校生活を営めない子どもを
育てようとする特別に認められた学校です。

当然、少数ですが、
その学校を求めて通っている子どもがいます。

また他に、特別指定はされていませんが、
元々あった場所が、大規模校に囲まれている中規模中学校に、
不登校傾向の生徒が集まって来ているという実態もあります。

今回示された統合案では、このような学校がなくなることになり、
そこを頼りに学校生活を送っていた
不登校傾向の子どもたちの行き場がなくなるということです。

これは、先にも少し話しましたが
全ての子どもたちの教育の機会を平等に確保しようとする
教育機会確保法の理念に逆行する統合案だと感じているのです。

全ては残せない!からこそ!

とはいうものの、小規模校をいくつもいくつも
地域の要望に応じて残していくことは、
持続可能な都市を考えた時、
大きな負担になることは、容易に理解できます。

なので、ある程度の統合は
進めて行かなければならないだろうとも思っています。

ただ、先に述べた通り、市全体として、
様々な特徴ある学校をちりばめ、
子どもや保護者が自由に選択できるような制度に
転換するのが理想形だと思っています。

公立学校だから、全て平均的にするのが、
平等だという時代はとうに過ぎ去り、
少なくなった子どもたちの個性に寄り添うための
教育を展開できる街にするのが、
今後、期待されていると思います。

各地域の特性を生かしつつ、特徴ある教育を展開する。
それこそ、今、流行りつつある地域連携学校や
民間と連携する学校など、多様な学校を設立するのが、
長い目で見ると各学校が長く存続でき、
また、地域の拠点としての学校になると思っています。

さて、みなさんは、学校統合問題、どう思っておられますか?

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